クイーンズランド州安全マニュアル

はじめに

    観光資源に恵まれた当地、クイーンズランド州(以下「QLD州」という。)への観光旅行者や当州に居住する在留邦人の数は近年急速に増加しております。これに伴い、旅行者を中心に邦人の巻き込まれる犯罪や事故も急増しており、その安全を如何に確保するかが今後重要な課題となってきています。
    本冊子では、最近総領事館に通報のあった邦人関連の事件、事故を分析し、その他関連資料と総合的に検討してその対策を取りまとめました。邦人の皆様方が安全措置を講ずるうえでの一助として頂ければ幸いです。
    当冊子は、平成6年10月に初版を作成しておりますが、今回大幅な改訂を行ったもので、今後とも見直しを行い、更に充実したものにしていきたいと考えておりますので、ご意見やお気づきの点をお知らせ頂ければ幸甚です。

                                  平成11年1月

                                             在ブリスベン日本国総領事館

1 安全のための基本的な心構え

    事件・事故の対応策を考えるに当り、基本的に必要と思われる在留に当たっての留意事項をまとめました。

    ^日本との違いを認識する

      当地において日本人が遭遇する事件や事故は、交通事故や飲酒運転などのように、日本国内でも日常的に発生するものもありますが、当地の状況に不慣れなために発生したり巻き込まれたりするものも多くあります。日本でなら常識の範囲内である行動が、当地ではとても危険性の高い行為であることもあり、日本での常識はひとまず横に置いて、当地での常識や習慣を習得して行動することが必要ではないでしょうか。

    _意識して新しい生の情報を手に入れる

      当地の治安状況、社会情勢、文化、習慣、制度などに関する情報は、新聞やテレビなどのマスメディアを通じて入手することが多いと思いますが、地域特有の情報で、生活に密接した治安情報は案外、隣人などの口コミによって伝えられる場合があります。普段から、隣人、地元住民、在留邦人などとの付き合いの輪を広げ、積極的に良好な関係を築いておくことで、日常の様々な情報が手に入るばかりか、いざというとき、お互いに援助を得ることができます。

    `我が身を守る意識

      諸外国の人々は、日本人以上に我が身を守る意識を強く持っているように思われます。安全対策の最も基本は、自分自身の意識と行動です。日頃から、自らの目と耳で、周囲の状況を的確に把握することが必要です。

    a周りから見た自分を知る

      外国における日本人の印象として共通することが、日本人は金持ちというイメージが定着していることです。当地においても例外ではなく、日本人は現金を多く持っている、と思われています。事実、日本人観光旅行者は、日本における一ヶ月分の給料程度の現金を持ち歩いていることが少なくなく、犯罪者に対して置引きやスリなどの動機を与えているように思われていることも事実です。また、多額の現金を所持しているにもかかわらず、地元の人々と比較して警戒心に欠けていると思われており、加えて英語が苦手である、積極的に意見を言わない、被害に遭っても抵抗がなく、その事後措置を十分にできない人が多い、と思われているのも事実です。特に旅行者は滞在期間が短いため、警察への届け出を行わずに帰国したり、届け出てもすぐに帰国してしまうため、被害の追跡や確認ができないと思われており、犯罪者の格好の獲物にされているのではないかと懸念されます。特に旅行者は一見してそれと分かるような服装や行動は努めて避けたほうが賢明と思われます。

    b予防対策を重視する

      事件や事故に巻き込まれてしまってからの事故措置は、大変煩雑かつ面倒で、また費用のかかる場合も多くあるばかりか、なにより自分自身の生命、身体や財産が脅かされ、全ては後の祭りとなってしまいます。日本での予防対策以上に、入念な事前の予防対策に力を入れて実践する必要があると思います。

    c精神衛生と健康管理

      生活環境や習慣の異なる海外での生活は、楽しんでいるつもりでも、知らず知らずのうちに緊張を余儀なくされている場合が多いものです。体調に異変を感じたり、精神的に不安を覚えた場合は、手遅れにならないうちに、早めに必要な診断を受けることが必要です。また、既往症がある人や薬物治療を受けている人は、日本の医師から処方箋を受けておくなどの配意も必要です。

    d海外旅行保険の加入

      海外旅行保険は、万が一の際に大変効果的です。海外で事件事故に遭遇した場合、日本で同様な被害に遭った場合に比べ、比較にならないほど大きな経済的負担を強いられます。こうした負担を少しでも軽減するために、海外旅行保険に加入し、加入した旅行保険の内容を確認しておくことをお勧めします。また、旅行保険証書は、旅行日程表、旅券、クレジットカードなどと共にコピーを複数部数とり、オリジナルとは別に自ら保管し、残りを家族や友人に残しておいて下さい。

2 防犯対策

    ^QLD州の治安情勢
      QLD州警察本部が発表している犯罪統計資料によると、1996/1997年度に警察に認知された人身に対する犯罪(殺人、殺人未遂、暴行、性的犯罪、強盗、誘拐、強要など)の件数は28,109件で、前年度と比較すると6%の増加となっています。また、財産に対する犯罪(窃盗、自動車盗、放火、建造物侵入、詐欺、器物損壊など)の件数は262,174件で、前年度と比較して4%の増加となっています。これら発生件数を、全豪の資料や日本の資料と比較した場合、当地は安全と言われていながらも、人口比で全豪と比較した場合に、暴行傷害、強盗以外の犯罪に関してはいずれも発生件数が大きく上回っており、殺人が約3倍、性的犯罪が約2倍、恐喝が約5倍、侵入盗犯が約4倍と、犯罪に関しては十分に注意を要する地域であることが分かります。また、日本の人口比発生件数と比較するとその差は歴然としており、殺人が約7倍、暴行障害が約26倍、性的犯罪が約44倍、強盗が約32倍、侵入盗犯に関しても17倍の発生があり、当地で生活するうえで日本の安全意識のままでは極めて不十分であることが分かります。 

犯罪認知件数

人口10万人当り発生件数

検挙件数

検挙率(%)

人口10万人当り発生件数

95/96

96/97

増減(%)

95/96

96/97

増減(%)

95/96

96/97

95/96

96/97

全豪(96)

日本(96)

殺 人

235

225

-4

7

7

-6

203

210

86

93

2

1

暴行傷害

17,242

16,834

-2

514

490

-5

11,441

11,140

66

66

620

19

性的犯罪

4,513

5,974

32

135

174

29

2,777

4,309

62

72

79

4

強 盗

2,062

2,225

8

61

65

5

678

755

33

34

89

2

恐 喝

108

156

44

3

5

41

50

67

46

43

1

9

侵入盗犯

64,960

69,749

7

1,936

2,023

4

54,918

57,668

22

22

1,703

118

引用:QLD Police Service, Statistical Review 1996-97. Australian Bureau of Statistics, Recorded Crime 1996. H9年版警察白書

注:人口10万人当り発生件数は丸めた数値となっており、その増減率(%)は丸める前の数値から計算されている。

    _日本人の犯罪被害状況
      平成9年度に当総領事館に届け出のあった犯罪被害の多くは窃盗被害です。その殆どは置引き、車上狙い、すり、忍び込みです。凶悪犯罪の被害発生については、平成9年9月に、ケアンズで日本人女性が殺害される事件が発生しましたが、その他にも、ゴールドコーストやケアンズなどで、若い女性が被害に係る暴行や傷害、強姦などの発生が増加傾向にあります。窃盗被害に関して、発生地別に分析すると約60%がゴールドコースト及びその周辺で、ブリスベン及びその周辺と、ケアンズ及びその周辺での発生が、それぞれ約20%となっています。また、被害の発生を場所別にみると、約55%が空港、ホテル・ロビー、繁華街の路上、海岸、テーマ・パーク、ゴルフ場などの一般に開放された人の出入が自由な場所での発生が多くなっています。また、約26%が駐車場の車内からの盗難(車上狙い)で、その他の約19%が自宅あるいは宿泊先の客室内で発生しています。

    `防犯のための具体的な注意事項

      実際に発生している犯罪や、発生する可能性が高いと思われる犯罪の事例を、場所や状況に応じて取り上げ、それぞれに対する具体的な注意事項を列挙しました。

      ○空港、ホテル・ロビー等における置引き
        空港やホテル・ロビーは、現金や貴重品をまとめて持った旅行客を狙う犯罪者が集やすい場所です。チェックイン、アウトの際や、荷物の入れ換えの際などに、携行品に対する注意や警戒がおろそかになる傾向があるようです。鞄などを床やカウンター上に置いたまま、手を離して手続きに夢中にならないで下さい。

      ○繁華街の路上や人込みでのスリ、ひったくりなど

        ◆外出に際しては、できるだけ旅券、航空券、多額の現金や貴重品を持ち歩かない方が無難です。
        ◆免税品の購入などのために、やむを得ず旅券、航空券などを持ち歩く場合も、バッグなどには入れずに、肌身に付けて携行する工夫をした方が安全です。この場合、ズボンの後ろポケットは、犯罪者がよく狙う部位なので注意して下さい。
        ◆やむを得ず現金を持ち歩く場合も、数ヶ所に分散して携行して下さい。万一被害に遭遇した場合でも一部の被害だけで済みます。
        ◆ひったくりを避けるために、なるべく車道から離れて歩き、携帯品などは車道側に持たない配慮も必要です。また、ショルダーバッグの肩紐はたすき掛けに掛け、バッグを体の前面で必ず片手あるいは両手を添えて保持するようにして下さい。
        ◆人前で不用意に財布を出し入れしないで下さい。人の前で財布の中の現金を出したり、勘定したりしないようにして下さい。犯罪者に対して狙ってくれと誘っているのと同じです。
        ◆見知らぬ人から話しかけられ、横を向いた隙に所持品を持ち去られた被害が当州でも発生しています。鞄などの携行品から手を離さないように心掛けて下さい。人の注意を引く手段としては、衣服にアイスクリームやケチャップを付ける、目の前で老人や子供が転ぶ、財布を落として小銭を撒き散らすなどの方法があります。目前で注目する事態が発生した場合は、特に持ち物から手を離さずに対応して下さい。
        ◆クレジットカードで支払をする際は、伝票の金額を必ず確認してから署名し、領収書を必ず受け取って決済が終わるまで保管しておいて下さい。

      ○飲食店での置引き

        ◆最近特に発生が増えているのが、ビュッフェ(バイキング)形式のレストランで、食事を取りに席を離れた間に、椅子の上や背もたれに掛けていたバッグなどを持ち去られる被害です。友人などの同行者が一緒の場合は、必ず誰かが残るようにして下さい。やむを得ず一人で食事を取りに行く場合でも、必ずバッグなどを持って移動して下さい。近くにいたホテル従業員に看視を頼んだにもかかわらず持ち去られた事例や、頼んだ人が犯人だった事例もあります。
        ◆食事中でも、椅子の背もたれに貴重品や財布の入った上着やバッグなどを掛けたままにしないで下さい。また、トイレに行く場合も貴重品を必ず携行して下さい。

      ○海岸での置引きなど

        ◆所持品を浜辺や車の中においたままで海水浴をしないで下さい。
        ◆特にゴールドコーストで多いのが、海岸付近での車上狙いです。サーフィンや泳ぎに行く際に、車内の見 えるところに鞄などを放置したまま車を離れないで下さい。また、車のバンパー裏やタイヤの下などに隠しておいた車の鍵を発見され、車ごと盗まれた事例もあります。このような場合、保険の適用が行われなかったり、支払金を減額されることもあります。

      ○ゴルフ中の盗難

        ゴルフカートに積んだゴルフバッグの、サイドポケットに入れていた貴重品を、プレー中にバッグから目を離した隙に盗まれるケースが多く発生しています。

      ○車内からの盗難(車上狙い)

        ◆車内は安全と考えるのは大きな間違いです。車を離れた間に、車内に置いていた貴重品を盗まれる事例が多く報告されています。特に車外から見える場所に鞄や荷物を放置して車から離れないで下さい。
        ◆車のトランクの中も決して安全ではありません。一度扉を破られれば、車内もトランク内も同じです。
        ◆路上駐車は、例えパーキングメーターのある場所でもできる限り避けて下さい。路上駐車は、誰が車に近寄っても、また車から物を運び出していても不審ではないことから危険です。
        ◆給油ステーションなどで、ほんの数十秒車を離れた間に盗難がおこった例もあります。

      ○車の盗難(自動車盗)

        ◆車を駐車する際は、できる限り出入が規制されたり、管理人が常駐する駐車場を利用して下さい。
        ◆警報装置やハンドルロックなどの追加的な防犯手段の導入も検討して下さい。

      ○女性に対する暴行

        ◆夜間の独り歩きは危険です。QLD州警察本部の事件担当者の話では、ブリスベン市内のフォーティトュードヴァレイ(中華街)などは、日没後の女性の独り歩きは危険である旨指導しているとのことです。また、午後8時ころ、人通りの比較的多いゴールドコーストの通りで女性が襲われた事例もあります。
        ◆昼間は人通りが多い場所でも、夜間には急に人気がなくなる場所もあります。例えばオフィス街などはその典型で、夜間は地域一帯が無人となるため、注意が必要です。
        ◆例え昼間でも、人通りのない場所や地域への立ち入りは、十分な注意が必要です。例えば、公園や自然林を散策している際に、暴漢に襲われ瀕死の重症を負った事例もあります。
        ◆ホテルの近くで、夜散歩する観光客を狙った犯行もあります。短い距離でも夜間の徒歩通行には、呉々も注意して下さい。
        ◆強姦は、見知らぬ人によるものよりも、知人による犯行の方が多いことに留意して下さい。知り合いに対してでも、否定する場合ははっきりNoと意思表示して下さい。甘言を用いて住宅や、室内に連れ込まれ、被害に遭った例もあります。
        ◆他人からドリンクやカクテルをもらうことのないようにして下さい。睡眠薬などが混ぜられていて、意識をなくしている間に暴行を受けた例もあります。最近では薬物入りのクッキーなども使われており、今までのように、液体ばかりとは限りません。

      ○ヒッチハイクはしない

        ◆見知らぬ人の車に同乗したり、見知らぬ人を同情させるのは、場合によっては極めて危険なことです。
        ◆旅行する場合に、絶対にヒッチハイクはしないで下さい。

      ○いかさま賭博

        ◆「以前、日本で生活していた。」「兄弟が日本に住んでいる。日本のことをもっと知りたい。」「カジノのディーラーをしている、必ず勝てる方法を知っている。」などと、親しげに話しかけてくる人を、軽々しく信用しないで下さい。危ない、あるいは不審に思った場合は、臆せずはっきりとNoと意思表示をして 下さい。大抵の場合、一二度Noと言ってもしつこく話しかけてきたり、誘う場合があります。この様な相手は尚更危険なので、その場から立ち去り相手にしないように注意して下さい。
        ◆知りあってすぐに住所や電話番号、宿泊先などを教えないで下さい。
        ◆違法な賭博は犯罪です。

      ○長距離バスや列車内での犯罪

        ◆車内で睡眠中に、バッグなどの持ち物から貴重品を抜き取られる事案が発生しています。
        ◆長距離バスで移動中、休憩のための停車中に、荷物を車内に残してトイレなどに行った際、荷物や荷物内の貴重品を盗まれる事案も発生しています。例え、バスに運転手が残っていたとしても、運転手は車の運転が仕事で、客の荷物の管理はしません、必ず貴重品は持ち歩くようにして下さい。
        ◆電車やバスで、特に夜行便を利用する場合、所持品の安全性に特に注意して下さい。眠れないからといって睡眠薬やアルコールを摂取することのないようにして下さい。また、友人などの同行者がいる場合は睡眠を交互にとり、常にどちらかが荷物の見張ができるようにして下さい。

      ○ホテルなど宿泊先における注意事項

        ◆客室に不在の間の貴重品の盗難
          ◇旅券、航空券、TCや現金などは、客室内にある金庫あるいはホテルのセーフティーボックスに保管するようにして下さい。但し、ホテルのセーフティーボックス保管中の盗難も皆無ではなく、ホテルの管理体制に問題があると思われる場合は、自ら管理せざるを得ないこともあります。
          ◇部屋に残すスーツケースなどは、必ず複数の鍵をかけて下さい。
          ◇ロビーや人前で、自分の部屋番号や行動予定を余り話さないようにして下さい。

        ◆客室内への押し込み強盗

          ◇客室内にいるときは、必ず出入口の施錠と、ドアチェーンを掛けておき、来訪者があった場合は、まず扉を閉めたまま応対し、次にドアチェーンを掛けたまま相手を確認して下さい。
          ◇外から帰ってきた際は、不審な人が後を尾行していないか、あるいは部屋の付近に見知らぬ人がいないか注意し、不審な人物がいる場合は部屋へは帰らずにフロントに連絡して下さい。

        ◆バックパッカー向けの宿泊施設での盗難

          ◇若者がよく利用するバックパッカー向けの、比較的廉価な宿泊施設では、貴重品は常時、いかなるときも身に付けるように心掛けて下さい。例え肌身に付けていたとしても、就寝中に盗まれた例もあり、貴 重品の管理には。細心の注意が必要です。
          ◇貴重品は、例えシャワー中でもシャワー室内の、手の届く範囲で常時見える場所に置いておく工夫をする必要があります。また、部屋を空ける際は、ほんの数分でも必ず鍵を掛け、貴重品は肌身から離さず に持ち歩くようにして下さい。お湯を汲みに、約30秒間、無施錠で部屋を空けて戻ったところ、現金などの貴重品全てを盗まれていた事案もあります。
          ◇ドミトリー形式で、他人と相部屋になる場合は、特に所持品や貴重品に対する注意が必要です。また、部屋の施錠についても、入念に確認する必要があります。自分が施錠しても、相部屋の人がその後鍵を開けていることもあります。就寝前には必ず部屋の施錠を確認するようにして下さい。

      ○住居における注意事項

        ◆独立家屋
          ◇地域の安全性を十分考慮して住居を選定して下さい。地域の安全性を見極めるには、友人や同僚、複数の不動産業者などから意見を聞くと共に、地域の警察署に相談することも効果的です。また、付近の道路のゴミの散らかり具合、近隣の家屋の庭の手入れ具合、付近の商店での客や店員の服装や態度、周辺の夜間の道路照明の程度などを目安に、自らの目で地域の治安の善し悪しを判断することが必要です。
          ◇入居に当たっては、契約前に扉や窓の施錠設備が完全か否か、また、外部から侵入可能な箇所の有無の点検を行い、不十分な場合には、家主に申し入れて確実に修理あるいは錠の設置などを行わせる必要があります。
          ◇前の居住者当時の錠がそのまま使われていないかを、必ず確認して下さい。錠前がそのまま場合は、家主に申し入れて必ず交換するようにして下さい。
          ◇入居後は、隣家へ挨拶し、出会ったときは話しかけるなど、隣人との良好な関係を維持して下さい。
          ◇長期間家を不在にする際は、第三者に不在であることを極力悟られないことが肝要です。新聞、郵便などの配達を一時的に停止したり、知人に片付けてもらうなどの措置が必要です。また、ラジオ、テレビや部屋の照明などをつけておいたり、収集後のゴミ容器を長い間放置しないなどの措置をとることが必要です。長期間家を不在にする家庭の、新聞や手紙などを片付けてくれる商売もあるようです。
          ◇犬を飼うことは有効な防犯手段の一つです。また、機械的な警報装置を設置するなどの毀壊警備の導入も検討してみて下さい。

        ◆アパートなどの集合住宅

          ◇アパートなどの集合住宅は、侵入箇所が制限されているという利点がある反面、外部から隔離された密室になるという欠点があります。入居に当たっては、周囲の立地条件、入居者の状況、警備員や管理人の有無、玄関の出入規制の有無や方法及び各室の施錠設備の状況を確認する必要があります。
          ◇部屋の扉そのものが強固な造りであること、また扉には鍵の種類の異なる、2個以上の複数の施錠設備を取り付けて下さい。もちろんホテルのようなドアスコープやドアチェーンも設置して下さい。
          ◇来訪者があった場合に、相手を確実に確認せず、いきなり扉を開けることは危険です。まず扉越しにドアスコープで相手を確認し、次にドアチェーンを掛けたままで相手と応対して下さい。
          ◇強盗の侵入に備えて、居住区域内に避難室を設定しておき、その部屋の防犯設備を充実させておくことも有効な方法です。避難室は、通常主寝室やバスルームに設定しますが、扉の構造や施錠設備を強固にし、電話など外部への連絡装置が設置されている部屋である必要があります。

3 事故対策

    ^日本人の、事故による被害状況
      QLD州だけでも、遊泳事故や交通事故により、毎年数名の邦人が死亡しています。この他に、重度の後遺症が残る重傷者も含め、事故により多数の被害者が発生しています。観光資源に恵まれた当州では、このような事故による邦人被害が、益々増加することが予想されます。

    _事故防止・回避のための具体的な留意事項

      実際に発生した事故や、発生する蓋然性の高い事故の事例を、場所や状況などの特徴に応じて取り上げ、それぞれに対する具体的な注意事項を列挙しました。

      ○自動車事故
        ◆高速運転中の事故が多い
          ◇居眠り運転や速度超過による事故が目立ちます。道路標識の制限速度が高い場所が多い割には、路面状態は決して良くありません。制限速度の一〜二割減を目安にする位の配慮が必要と思われます。
          ◇当州には、車両の登録制度はありますが、日本のような厳密な車両検査制度はありません。有名レンタカー会社の車と言えども、整備が不完全な場合もあります。
          ◇車両に乗車中は、乗車している全員がシートベルトを着用して下さい。幼児の場合は、チャイルドシートと呼ばれる、幼児専用安全シートを別に準備して利用して下さい。親が幼児を抱いたまま車を走行させることは禁じられています。

        ◆飛出し事故や路面状態に注意する

          ◇走行中、異常なものを発見した場合は、直ちに速度を落として下さい。当州では、牛、馬などの家畜、カンガルーやポッサムなどの大小野生動物が道路上に侵入してくる場合も多くあります。また、家屋をそのまま大型のトレーラーに積載して、反対車線にはみ出したまま長距離を運搬している場合もあります。このように、日本では想像もしない物が路上を走っていたり、横切ったりすることがあるので注意して下さい。見通しの悪い夜間は特に注意が必要です。
          ◇高速道路上に破裂したタイヤの破片や、走行中に落下した積載物を見かけることも稀ではありません。道路状態そのものも全般的には決して良好とは言えない道路も多く、特に夜間の道路照明は完備していない道路が多いので気を付けて下さい。

      ○海岸での注意事項

        ◆遊泳中の事故
          ◇遊泳する際は、必ず遊泳禁止の標識が出ていないことを確認し、地元の人が多数遊泳していて、海岸の監視員がいる場所を選んで下さい。
          ◇当州南部の海岸は、風が強く波が高い場所が多く、波が比較的穏やかな場所や入り江などでも、潮流が早い場所や、急に深くなる所が多いため、思わぬ所で事故が発生しています。また、これまでの事故でも、特に泳ぎの達者な人が多く犠牲者となっており、例え泳ぎに自信があっても、過信は禁物です。
          ◇中高年の方の、遊泳中の心臓などの疾患による病死も多く発生してます。せっかく旅行に来たのだからという気持ちも分かりますが、無理はしないで下さい。また、心肺などに既往症がある方は、特に注意が必要です。本人ばかりでなく、家族など周りの人がお互いの健康に注意しあうようにして下さい。

        ◆ダイビング中の事故

          ◇ダイビングは、必ず2人以上で行い、ダイビングスポットの潮流などの状況を知っているベテランダイバー、あるいはガイドと潜るようにして下さい。
          ◇ダイビング中に仲間やパディとはぐれた場合、潮流に流された場合などは、必ず速やかに海面に浮上して下さい。過去発生した事故でも、浮上せずに潜ったまま仲間を探していたために起きた死亡事故が多くあります。潜水していては、何が起きていても海上にいる捜索者や仲間には知る術がありません。

        ◆毒クラゲ

          QLD州中央部から北部の海岸では、猛毒を持つボックス・ジェリーフィッシュと呼ばれるクラゲが生息しており、刺された場合、その毒性により大人でもショック死する場合があります。通常の海岸では、このクラゲが発生した場合に看板などで注意報が出されます。海岸を選ぶ際には、地元の人たちが泳いでいないような海岸で遊泳しない方が無難です。

        ◆毒性のある魚介類

          QLD州の海には、ストーンフィッシュ、ブルーリングド・オクトパス、コウン・シェルなどの毒を持った魚介類が生息しています。ダイビングやシュノーケリングなどで海に入る際には、インストラクターや現地の海の事情を良く知った人から、事前の情報を十分入手して下さい。また、海中でむやみに生物に触れないようにして下さい。

        ◆鮫

          鮫の来襲を知らせるシャークベルが吹鳴したときは、直ちに海岸に上がって下さい。夕方、監視員がいなくなって後や、波の静かなとき、曇天の時などには、特に鮫に対する注意が必要です。ケアンズ沖合、ゴールドコースト、サンシャインコーストなどで、鮫による被害が発生しています。

        ○その他の危険な動物

          ◆毒グモ
            QLD州には、次のような毒グモが生息しているので注意して下さい。
              ◇ファネルウェヴ・スパイダー
              QLD州南東地域、NSW州海外地域、シドニー周辺に生息し、体長2〜3センチ、黒あるいは赤茶色をしています。岩の割れ目、家屋の床下、潅木の茂み、杭を抜いた後の穴などに生息しています。
              ◇レッドバック・スパイダー
              豪州全域に生息している小さな蜘蛛で、通常は全体が黒く、背中に赤く細い筋が一本入っています。軒先や、古タイヤの中、日陰の小屋などの人気のないところで生息します。

          ◆毒蛇

            ブラウン・スネーク、タイガー・スネークなどの猛毒を持つ毒蛇が生息しています。ブッシュウォークなどをする際には、特に注意して下さい。
              ◇音を立てながら歩くようにして下さい。
              ◇不用意に手を木の穴、木の束の下などに入れないで下さい。
              ◇ネズミを駆除し、家屋の周辺の草は短く刈って下さい。

            蛇に咬まれたら、直ちに最寄りの適切な医療機関で血清投与などの処置を受けて下さい。その際に、咬んだ蛇の大きさや、色、模様などの特徴を覚えておくと適切な処置を受けるのに役立ちます。

          ◆ワニ

            QLD州北部には、野生のワニが生息している地域があり、人間を襲う場合もあります。特に、釣りや遊泳の際には、禁止標識の有無の確認や、監視員の指示を厳守して下さい。

4 事件・事故遭遇時の処置

    ^緊急連絡電話番号・000(局番なし、無料)
      事件事故に遭遇し、緊急に救助などを求める必要がある場合は、緊急電話番号000をダイヤルして下さい。警察、消防、救急車の要請などの緊急連絡が可能です。これは日本の110番や119番に相当し、局番をダイヤルする必要はありません。000番は、緊急通報用の電話です。警察への相談など不要不急の事案は、表紙裏の警察署などに直接電話して下さい。緊急通報の際は、まずオペレーターに何があったのかを伝えて下さい。事案に応じて警察、消防、救急に転送されます。担当者が出たら、何が起こったか、いつ起こったか、どこで起こったか、今どうなっているか、何が必要かを落ち着いて順番に伝えて下さい。

    _警察への通報

      犯罪などにより被害に遭った場合には、まず警察に被害届を提出して下さい。その際に、旅券の再発給、海外旅行保険の請求など、後々の処理に必要となる被害届受理書(COMPLAINT ACKNOWLEDGEMENT FORM)を受領して下さい。

    `総領事館への通報

      事件・事故に遭遇した場合には、在ブリスベン日本国総領事館、または、在ケアンズ駐在官事務所へご連絡下さい。できる限り皆様のお力になります。
        ◆在ブリスベン日本国総領事館
          LEVEL 17, COMALCO PLACE, 12 CREEK STREET, BRISBANE
          TEL: 07 3221 5188 FAX: 07 3229 0878

        ◆在ケアンズ駐在官事務所

          LEVEL 15, NATIONAL MUTUAL TOWER, 15 LAKE STREET, CAIRNS
          TEL; 07 4051 5177 FAX: 07 4051 5377

    a日本からの送金が必要な場合

      日本の親族などから銀行送金を受けたいが、当地に銀行口座がないという場合、まず、最寄りの銀行に赴き、日本からの送金について相談することが必要です。銀行が引き受けてくれれば、口座を持っていなくても、日本からの電信送金を銀行が預かり、旅券などで身分証明を行い引き下ろすことができます。日本から送金して、当地で受領できるまで、通常早くて2〜3営業日を要するようです。この場合、日本の家族などの送金主に対しては、国際電信送金を扱う銀行に赴き、「オーストラリアの○○銀行○○支店(所在地○○○)に豪貨ドル○○○ドルを店頭請求支払(INTERNATIONAL MONEY TRANSFER-TRANSFERED AS CLEAR FUNDS FOR COLLECTION BY TELEX CABLE)で送金したい。受領者の氏名は○○○○で、所持している旅券の番号は○○○○である。」旨を依頼するように、電話などで連絡を取り、また、当地の銀行には、送金が到達した際に連絡を受けられるように、自分の滞在先の電話番号を通知しておいて下さい。

    bクレジットカードなどの盗難

      クレジットカード、トラベラーズチェックの盗難に遭った場合は、直ちに発行会社、銀行などに連絡し、所要の手続きを行って下さい。

5 在留届

    外国に3ヶ月以上滞在する日本人は、旅券法第16条の規定により、在外公館に「在留届」を提出するように義務づけられています。当総領事館においては、提出頂いた在留届に基づいて、当地における日本政府の行政サービスや、日本人が事件・事故などに巻き込まれた場合の所要の援護活動を行っております。しかしながら、QLD州に在留されている日本人の中には、在留届を提出してない方が多数おられるのが実情です。警察や病院などから、日本人の関係した落とし物から傷病人や事件事故に至る様々な通報が頻繁に当館にありますが、在留届が提出されていないために、関係者の連絡先が分からず、連絡が滞ることがあります。また、当地では、台風、水害、山火事などの自然災害も稀なことではありませんが、大規模な自然災害の際にも、在留届にある情報や連絡方法が重要となります。在留届を提出されていない方は、提出につきご協力をお願い致します。また、既に在留届を提出済みの方につきましても、住所などの変更がありましたら、当総領事館まで電話などでご一報下さい。在留届は郵送でも受理しております。在留届は必ず提出して下さい。


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