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拝啓、Ramblin' Jack Elliott 殿 | |||||||||||||||
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ジャック・エリオットは1931年8月生まれ、日本の年号で言えば昭和8年生まれに当たる。ニューヨークのブルックリンで、医者の息子として生まれた彼は、本名はエリオット・チャールズ・アドノボズと言うらしい。・・・変な名前だ。・・・13歳の時に家出をして、土座回りのロデオショウなどに首を突っ込むが、やがて両親に見つけられ家に連れ戻されたそうだ。それでも、相当家が嫌いだったのか、それとも、余程放浪生活に憧れていたのか、18歳になると、今度は本格的に家出をした。その理由が彼曰く「ウッディ・ガスリーに逢いたかったから。」だそうで、20歳の時から4年間、彼は念願が叶い、ウッディと行動を共にする。彼の話では、ジャック・エリオットという名も、ウッディが付けてくれた名前だそうである。 彼は努めて医者の息子であることを隠そうとする。一時は、ン百エーカーの大牧場主の息子だ、などと真顔で大ボラを吹いていたこともあった。普段は極く普通の話し方で、緊張したときなどは、とても丁寧で奇麗なブリティッシュ・イングリッシュすら話せるのに、彼は、コンサートのステージの上では、アメリカの地方の、方言丸出しの喋り方しかしない。でも、私の友人のアメリカ人によれば、彼の地方訛りは、都会の人間が、わざと真似をしているのが見え見えで、それがまた面白いのだ、と言う。日本のテレビドラマなどでも、役者が方言を真似ているのだけれど、方言になりきっていない台詞をよく聞くが、丁度そんな感じなのだろうか。 僕が初めてジャック・エリオットの歌を聴いた1972頃というのは、日本でも吉田拓郎や井上陽水などのフォークブームが巻き起こり、どういう風の吹き回しか、勢いに乗って、何社かのレコード会社が、ブルーグラスのシリーズまで出してしまったという、今から思えば、変な時代でもあった。そんな中で、当時の日本のフォークシンガー達の何人かは、強くジャック・エリオットの影響を受けていた。高田渡、加川良、中川五郎、なぎら健壱、友部正人、他にも、当時、武蔵野弾薬庫などと、とんでもない名前がついていた、吉祥寺のぐわらん堂に出入していた名もないシンガー達の多くから、僕はジャック・エリオットのことを、いろいろと教えてもらった。教えてもらったと言っても、当時、日本版で発売されていたジャック・エリオットのLPは一枚だけで、誰が言うことも、そのレコードのライナーノートに書かれていることと、殆ど同じ話しばかりだったけれど。 ジャック・エリオットは1974年に、今度は前座ではなく、自分自身のコンサート・ツアーのために来日し、トリオ・レコードにライブ版を一枚残している。残念ながら、このLPは、既に廃盤となっているが、日本国内限定でCDが発売されているので、是非、機会があれば一聴をお勧めする。(Ramblin' Jack Elliott "Live in Japan" - VSCD706 (NKDD368) 1997年キングレコード)僕は自分でも少しだけギターを弾くけれど、ストロークとフラットピッキングが渾然一体となった彼の演奏スタイルは独特で、しかも歌を歌いながら、あれだけのギターを伴奏として演奏するとは、やはり相当の名人芸としか言いようがない。 実は、僕は、久しくジャック・エリオットの名前を忘れていた。彼の音楽は、間違ってもブルーグラスではなく、敢えて分類するとすれば、それはやはりフォークソングの範疇に入るものであることもあってか、僕の周りのブルーグラス人間のうち、ジャック・エリオットのことを良く知る者や、彼のLPやCDを持っている、という人は余りいない。加えて、今のオーストラリアに来るまで、数年の間、主に東南アジアをうろついていたこともあって、彼の名前を聞くことも余りなかった。一度、タイのバンコクのサイアム・スクェアーにあるタワー・レコードで、カントリーミュージックのCDの棚の中のJのその他のところで、彼のCDを1枚見つけて買ったことがあるけれど、こんなことを言うと彼には失礼千万だが、ジャック・エリオットが生きているのか、死んでしまったのか、すら僕は知らなかった。ブリスベンで暮らすようになって、暫くして、ブリスベンのシティの繁華街であるクィーンズ・モールのCD店で、久し振りに彼のCDを見つけた。それも、嬉しいことに、と言うか、珍しいことに、ジャック・エリオットとして区分けしてあるではないか。僕は、早速、何が並べてあるのか近づいたが、入っているのはCD1枚だけだった。実は、そのCDが、彼の最新盤のフレンズ・オヴ・マインと言うCDで、すっかり歳をとってしまったジャックが、それでも相変わらずのカメラ目線で、CDジャケットに収まっていた。中を見ると、これまた驚くほど容貌の替わってしまったアロー・ガスリーやジェリー・ジャフ・ウォーカーの写真が載っていて。懐かしさを通り越して、僕には少し、寂しかった。 ジャック・エリオットは、今はアメリカのカリフォルニアにある、ハイ・トーン・レコードに所属していて、コンサート活動も精力的にこなしているようだ。ハイ・トーン・レコードからは、毎月、ジャック・エリオットを始めとした、所属シンガーのコンサート予定表が送られてくるが、若手の歌手より回数は少ないとはいえ、ジャックも元気でいることが判る。またいつか、アメリカへ行く機会があれば、この予定表を片手に、僕と同じくらいジャック・エリオットが好きな、フレズノに住むランディとリンダも誘って、ジャック・エリオットに会いに、訪ねて行こう、と僕はそう思っている。
ちなみに、1998年11月の、ジャック・エリオットのコンサート予定はこんな感じ。
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