アパラチア山脈

Gibson RB-3アメリカの山々と言えば、ロッキー山脈やシェラネバダ山脈などは、日本人の誰でも知っている。でも、アパラチア山脈となると、どこにあるのか知らない人も多いようだ。アメリカの東南部、地図で見ればさして長大な山脈ではないが、開拓時代の人々にとっては、西部へ向かうために、最初に越えなければならない難関であったようだ。中には越えられずに、山の中で生活するようになってしまった人たちも沢山いる。かの、リンカーンの一族も、祖父の代以前は100年以上、アパラチアの山岳地帯で生活していたそうだ。アパラチアの山中で、細々と伝えられていた音楽が、突然、19世紀の後半にレコートの出現でヒルビリーと名付けられ、続いて1930年代に、ラジオの登場でカントリーミュージックと名を変え、商品としての音楽に変わっていった。やがて流れはロックンロールにつながり、ロックンロールとヒルビリーでロカビリーが出来上がり、カントリーは、薄気味悪いほどけばけばしい姿の、歌うカゥボーィが白馬に跨がり颯爽と登場する、ハリウッドの作り出したウェスタン・ムビー(西部劇)に使われて、カントリー・アンド・ウェスタンと名を変える。今のアメリカの大衆音楽は、日本人の我々が思っているほど古く長い伝統の上に成り立っているものではない。映画、「明日に向かって撃て」に出てくる実在の人物でもある西部開拓時代の銀行強盗、ブッチ・キャシディやサンダンス・キッドが、本当に生きていた頃には、今のようなカントリーミュージックはなく、映画やテレビの田舎の場面では必ず使われるブルーグラスも、まだ、その頃は世の中に存在していない。


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